
2020.03.26溶接topics
溶接は、材料に応じて接合部分が接合を保つことができるように、熱や圧力を加えて接合していく方法です。
初心者に溶接は難しいというイメージがありますが、近年は自宅でも溶接をしている人が増えています。
本記事では、溶接方法の種類、溶接機、溶接のやり方について解説します。
溶接は、「工業製品の製作」「金属を組み合わせた雑貨の作成」「DIYでさまざまなもの加工」など幅広い分野において用いられている接合方法です。
溶接は、激しい火花をパチパチと鳴らし、金属を溶かしながら行うというイメージがあることから、溶接をしてみたいと思っている初心者にとってはハードルが高いでしょう。しかし、近年はDIY向けの家庭用電源でも使うことができる比較的簡単な溶接機もあります。
金属素材を使って溶接機をうまく使いこなすことができれば、少し本格的なDIYができるようになるでしょう。また、アーク溶接ならば資格も必要としません。安全に取り組み基本をしっかりと守れば決して難しいものではありません。
金属素材同士をなんらかの方法で「熱」や「圧力」を加えることで一体化し接合させることが、溶接の仕組みです。
強度の高い金属同士も溶接することで一体化できる事が、大きなメリットです。ボルトやビスでの接合は、金属のサビや緩みから外れてしまう可能性があります。溶接すればそのような危険性は低くなります。
さらに、溶接した部分は接合面の素材が一体化するので、高い強度を得ることができます。一般的な溶接方法を分けると以下の3つの方法になります。
細分化すると非常に種類の多い溶接ですが、中でも代表的な溶接方法を6つ解説します。
アーク溶接は、もっとも一般的な溶接方法です。
アーク放電の熱を熱源として利用し、金属を溶かし接合する方法です。アーク放電は、空気中に発生する電流を指す放電現象です。
空間に離れた2つの電極に電圧をかけると、空気の絶縁が破壊されます。すると、2つの電極の間に電流が発生し、同時に強い光と高い熱が発生し弧を描きます。
発生した弧をアークといいます。このアークが発生させる熱を熱源として利用した溶接方法がアーク溶接です。
アーク放電を熱源に利用し溶接が行える機器をアーク溶接機といい、現在最も多く使われている溶接機です。
アーク放電による温度は、5,000~20,000℃まで達します。鉄は、1,500~2,800℃が融解温度です。アーク溶接機は、この鉄の融解温度で、接合することができるのです。
アーク溶接の溶接機は、大きく分けると3つあります。
半自動溶接ははんだごてを使った加工方法と同じように、トーチなど加熱器具で融解金属を溶かし2つのものを接合する方法です。
溶接の基本的な技術を応用した方法ですが、半自動溶接はトーチで加熱し、溶かすワイヤーが自動で供給される半自動溶接機を使うものをいいます。
半自動溶接の溶接機にはいくつか種類がありますが、それぞれ対応する溶接方法は異なります。
半自動溶接機の中でよく使われている溶接機です。このタイプの溶接機は、トーチの先端部分から溶接ワイヤーが出てくる構造をしています。
CO2溶接、MAG溶接、MIG溶接の各溶接方法に対応できる溶接機です。ただし、中にはこれらの3つの溶接方法のうち一部のみ対応というものもあるため、購入時には対応する溶接方法を確認する必要があります。
ガスを使わずに溶接を行う溶接機です。ノンガス溶接機はノンガスワイヤーが使えるようになっているため、溶接機と別にガスを用意する必要がありません。
ただし、ノンガス溶接機を使用する際には、ヒュームと呼ばれる溶接時に発生する煙のようなものや、スパッタという溶接部分に金属粒が多く残るというデメリットもあります。
TIG溶接は電極にタングステン電極棒を使用し電極から発生する高温のアーク光を母材にあて金属を溶かし液体にして金属同士を接合させる溶接法です。
アーク光で金属を溶かす際、母材が酸素に触れ酸化するため作業時にはアルゴンガスを出しながら溶接する必要があります。
TIG溶接機は大きく分けると200V専用、100V/200V兼用、ガソリン・ディーゼル3つに分けることができます。
また制御方式もインバーターとデジタルインバーターがあります。溶接条件を記憶・再生できるような溶接管理機能が付いているものもあります。
スポット溶接とは、溶接する金属母材の上下から電極をあて大電流を流し加熱し、冷却、母材を再凝固して、2つの母材を溶接する圧接法です。スポット溶接の特徴は、金属の電力抵抗を利用した溶接法であることです。
電流が流れると電気抵抗が起こり発熱するのを利用した溶接法なので、抵抗スポット溶接とも呼ばれます。一般にスポット溶接と言及する場合は、2つの金属母材全面に大電流を流し圧接する抵抗スポット溶接を指します。
スポット溶接機には、ロボットスポット溶接機、マルチスポット溶接機、定置スポット溶接機、ポータブルスポット溶接機などの種類があります。
一般的なスポット溶接機の使い方を解説します。
レーザー溶接は、レーザー光線のエネルギーを利用して行う溶接をいいます。レーザー光線のエネルギーは、パワーが高いので異素材同士を同時に融解させることが可能です。レーザー溶接は、瞬間的に融解させるので、従来の溶接加工に比べ作業もスピーディーにでき、加工時間の短縮も可能になります。
また、レーザー溶接は、金属融解時に接合部分にアルゴン、ヘリウムなどの不活性ガスを照射し酸化を防ぎます。レーザーの種類は、イットリウム、アルミニウム、ガーネットを使用した個体レーザーであるYAGレーザーと、二酸化炭素を使用した気体ガスとに分別されます。
レーザー溶接機にはいくつか種類があります。
レーザー溶接機は、非常に高額なため、一般的な家庭溶接機として使用されることはまずありません。レーザー溶接機は、レーザー発振器、光路、集光光学系、駆動系、シールドガス系で構成されています。
一般的なレーザー溶接では、レーザー発振器としてCO2レーザー、YAGレーザーがあります。中でもYAGレーザーは大出力化が進んでいるレーザー溶接機器と名かでも代表的なものです。発振器でレーザーが発振され光路を通じて集光光学系に導かれます。
CO2レーザーの場合にはミラーによって折り返しで伝送されます。YAGレーザーの場合にはミラーによる伝送以外に光ファイバーによる伝送も用いられます。集光された状態でレーザーは材料に照射され溶接を始めます。
この時、溶接金属部分の酸化を防ぐため、シールドガスを溶接金属部に吹き付けることが一般的です。そして、駆動系が同することで溶接されていきますが、ジグによってテーブル等に溶接物は固定されています。
溶接形状によっては、溶接材料を押さえるためのジグは専用なものを用意する必要があります。
ガス溶接は、アセチレンやLPGなど可燃ガスと酸素を利用し発生させた燃焼熱によって接合するものをいいます。ガス溶接は、アーク溶接に比べ接合する時間が長いというデメリットはあるものの、接合部分が見えやすく状態をしっかり確認しながら作業ができることから溶接不良などが少なくなるというメリットがあります。
また、ガス溶接は、ガスの供給量の制御は比較的簡単なので加熱調整がしやすく、熱を加えすぎてしまうことによる部品の破損を防ぐこともできます。高熱に弱く割れやすいもの、薄いもの、溶け出す温度が低いものの融合に向いています。
溶接機には、ドイツ式(JISA型)、フランス式(JISB型)があります。使用する可燃性ガスはアセチレン、水素、プロパン、ブタンなどLPガスやメタン石炭ガス、都市ガスなどがあります。
ガス溶接機の使用方法について解説します。
溶接技術は、専門技術というイメージがありますが、技術をつければDIYで作ることができるもののバリエーションも広がります。
溶接作業時には、ガスを使用しないアーク溶接は免許、資格は必要ありません。機会があったらDIYなどでアーク溶接にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。