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【コラム】なぜ人手不足が中小企業を倒産へと追い込むのか?原因と解決策を解説

2024.01.15M&A

日本全国の中小企業が直面している「人手不足」という問題は、現在日本経済における一大事となっています。現場の作業員から事務の専門職まで、どの業界も人材が足りないという状況で、会社の成長はもちろん、日々の運営にも大きな支障をきたしています。

この人手不足が原因で、企業はさまざまな問題に直面しています。業務の遅れやサービスの質の低下、そして最悪の場合は倒産にもつながるリスクがあり、これらは企業にとって重大な問題となっているのです。

この記事では、現在の中小企業の人手不足の現状を紹介し、そこから派生する様々な問題点を探ります。

 

中小企業の人手不足の概要

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日本の労働市場、特に中小企業が人手不足の問題に直面しています。中小企業は、日本経済の重要な柱として、多数の雇用を生み出していますが、社会全体の高齢化や若年層の労働者減少により、労働力の確保が難しくなっています。ここでは、中小企業の人手不足の状況について解説していきます。

 

人手不足が中小企業に与える影響

人手不足は中小企業に多方面にわたって影響を及ぼしています。例えば、物流業界では業務合理化や人手不足に対する対策を進めている一方で、人件費を上げるための料金アップに伴う荷動きの停滞や個人消費の低迷が別の課題となっています。

2023年11月時点での年間の人手不足倒産の件数は全体の倒産件数の約3%に達しており、人手不足は様々な業界で倒産の一因となっていることが示唆されています。

※帝国データバンク 人手不足倒産の動向調査(2023年1-10月)参照
※帝国データバンク 倒産集計 2023年 11月報参照

 

人手不足の業種別の影響

特定の業種では、人手不足の影響がより深刻です。建設業や物流業は、時間外労働の上限規制の適用などにより、人手不足が特に深刻化しています。また、これらの業界では人手不足を理由に運賃改定が行われるなど、影響は多岐にわたります。

インバウント効果による旅館業や飲食業も人手不足が顕著にあらわれています。

 

中小企業の人手不足の原因

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中小企業は大企業に比べて人手不足による課題が多く存在します。ここからはなぜ中小企業は人手不足に陥りやすいのかについて、原因を解説していきます。

 

若年労働者の不足と職業選択の多様化

日本は急速に進行する高齢化社会に直面しており、若年労働者の絶対数自体が減少しています。これにより、労働市場全体で若年層の割合が低下し、働き手が不足する傾向にあります。

近年の若年層は、安定性やキャリアアップの可能性が高い大企業や公務員職を好む傾向にあります。これにより、リスクが高い、または成長の見込みが限られていると思われやすい中小企業は若年労働者を惹きつけるのが難しくなっています。

 

労働条件と給与の問題

中小企業は、一般的に大企業と比較して給与水準が低く、福利厚生も限られている場合が多いです。これが、質の高い労働力の確保を難しくしています。

若い世代は、働き方に対する意識が変化しており、ワークライフバランスを重視します。しかし、多くの中小企業では長時間労働や過剰な負担が一般的であり、これが若年層にとって魅力を損なう要因となっています。

 

技術進歩との乖離

現代の労働市場は、特にITやデジタル関連の分野で新しい技術やスキルを要求しています。しかし、多くの中小企業ではこれらの新しい技術トレンドに追いつくのが難しくなっています。

新技術への対応には、従業員のスキルアップと研修が不可欠ですが、資金やリソースの限られた中小企業ではこれが十分に行えていないのが現状です。これが、特に技術革新の速い分野での若年層や専門技術者の確保に影響しています。

 

人手不足による中小企業の倒産の原因5つ

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ここからは人手不足による中小企業の倒産の原因を5つの項目で解説していきます。

 

労働力不足による生産性の低下

労働力が不足すると、注文処理、製品製造、サービス提供など、企業の基本的な業務が滞ります。これにより生産性が著しく低下し、収益に直接的な影響が出ます。

ある地方の中小製造業者は、適切な技術者が不足し、段々と顧客からの注文依頼に対する生産対応が出来なくなりました。その結果納期遅延が頻発し、大口顧客を失うことになりました。

生産性の低下は収益減少に直結し、長期的には企業の財務安定性を脅かし、倒産へと導く可能性があります。

 

高い人件費と経営負担

人手不足により労働市場が売り手市場になると、人材を確保するために賃金を上げる必要があります。特に中小企業では、高い人件費が経営に大きな負担をもたらします。

ある中小の製造業では顧客の要望である新商品を作るために新しい技術者を雇う必要がありました。しかし、売り手市場では技術者に高額な給与を払うことが入社の条件でした。大口顧客の要望ですが利益の少ない仕事で、給与は利益を圧迫させることになりました。

人件費の増加は利益率を低下させ、資金繰りに悪影響を及ぼすことがあります。特に資金調達が難しい中小企業では、これが倒産の一因となることが多いです。

 

顧客サービスの質の低下

労働力が不足すると、顧客への対応が遅れたり、提供する製品やサービスの質が低下したりする恐れがあります。これにより顧客の不満が増加し、ブランドイメージが損なわれる可能性があります。

あるITサポートを提供する中小企業では、十分なスタッフがおらず、顧客の問い合わせに迅速に対応できませんでした。これが顧客の不満を招き、競合他社への乗り換えが相次ぐということがありました。

顧客満足度の低下は、リピートビジネスや新規顧客の獲得の減少を招き、最終的には収益の大幅な減少につながり、倒産のリスクを高めます。

 

従業員の過重労働と士気の低下

労働力が不足すると、既存の従業員に過大な負担がかかり、過労やストレスが増加し、士気が低下します。

ある中小の小売業者では人手不足により、店舗スタッフに長時間労働を強いることになってしまいました。これにより従業員の健康問題が発生し、複数の重要なスタッフが退職するということにつながってしまいました。

従業員の士気の低下は、生産性のさらなる低下や、優秀な従業員の退職を招きます。このような状況は企業の運営をさらに困難にし、倒産の可能性を高めます。

 

新規事業の機会損失と市場競争力の低下

新規プロジェクトや事業拡大に必要な人材が不足すると、市場での新たな機会を逃し、競争相手に対して不利な立場に置かれます。

ある中小のソフトウェア開発会社では、新しい市場トレンドに対応するための開発者を確保できず、競合他社に先を越されました。結果として、市場シェアが減少し、経営が危機に陥ることになりました。

市場での競争力の低下は、収益の減少や市場シェアの喪失につながります。これらは企業の成長を妨げ、経済的な困難を引き起こし、最終的には倒産に至る可能性があります。

 

人手不足による倒産を回避するための対策

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人手不足による倒産は対策をすることで回避することもできます。下記に対策の例を紹介いたします。

 

労働条件の改善と福利厚生の拡充

従業員のモチベーションを高め、企業への忠誠心を育むために、給与改定による魅力ある給与の支給、残業や休日出勤の削減による労働時間の合理化、健康保険や有給休暇の拡充、特別休暇や労働環境改善のための制服貸与や健康診断の実施、ドリンクや食事の提供など、福利厚生を拡充します。

 

技術研修と教育プログラムの充実

従業員のスキルアップとキャリア開発を支援するために、定期的な研修や教育プログラムを提供し、個人のスキルを高めます。スキルを高めることで自己肯定感、そして会社へのエンゲージメントを高め離職を減らします。また、個人のスキルアップは業務効率化につなげることができます。

 

柔軟な働き方の導入

リモートワークやフレックスタイムなど、従業員がライフスタイルに合わせた働き方を選択できるようにすることで、働きたいけど場所の制約を受ける人など、より多くの人材を引き付けます。また、出産、育児、介護などのライフステージの変化にも対応した働き方ができるようになるため、従業員のプライベートな理由による離職を防ぐことにつながります。

 

多様な人材の活用

女性、高齢者、外国人労働者など、従来の労働力枠に捉われない多様な人材が働きやすい環境を整備することで、雇用の幅を広げられます。誰もが働きやすくなることで、社内全体のエンゲージメントを高め、離職率の低下にも寄与します。

 

効率化と自動化の推進

業務プロセスの自動化やITツールを導入することで、業務効率を向上させ、人手不足による負担を軽減することができます。また、新しいことへ挑戦している会社というイメージをつくることにもつながります。

 

アウトソーシングの活用

特定の業務を外部の専門業者に委託することで、内部リソースの負担を軽減できます。また、需要の波に対するリスクコントロールにもつながります。

 

地域コミュニティとの連携

地域の他企業や団体と連携し、共同での人材育成や地域ブランディングを行い、新しい人材を引き付けます。

 

政府支援プログラムの活用

中小企業支援のための政府の助成金や融資制度を積極的に利用し、資金やリソースの確保につながります。

 

広報活動の強化

効果的な広報活動を通じて企業のブランド価値を高め、優秀な人材の獲得へのアプローチにつなげることで、人的リソースが拡充できます。また、メディアへの掲載が増えることで社会的信用力を高めることができ、社員の会社への信頼感が高まります。

 

M&Aによる企業売却

人手不足によるリスクを回避するため、他の企業との合併や買収を検討し、経営基盤を強化します。本記事を提供している影山グループでは、後継者難の中小製造業を積極的に受け入れています。

ご興味がある方はぜひ「お問い合わせ」からご連絡ください。

これらの対策を組み合わせることで、中小企業は人手不足による倒産のリスクを軽減し、持続可能な経営を実現することができます。

 

まとめ

中小企業の人手不足は日本経済に深刻な課題をもたらしています。この問題には生産性低下、高い人件費、顧客サービス品質の低下、従業員の過重労働、新規事業の機会損失といった多くの影響があります。しかし、労働条件改善、技術研修、柔軟な働き方の導入、多様な人材の活用、効率化と自動化、アウトソーシング、地域連携、政府支援、広報活動、M&Aなどの対策を組み合わせることで、中小企業は倒産リスクを軽減し、持続可能な成長を実現できます。この課題への積極的な取り組みが、中小企業と日本経済の発展に寄与するでしょう。

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