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半自動溶接のやり方やコツとは?メリット・資格なども解説

2020.08.06溶接topics

半自動溶接

半自動溶接は長時間にわたり、連続して作業ができるため能率が良い溶接方法です。

この記事では、半自動溶接の特徴・やり方・種類・メリットとデメリット・コツ・資格について解説します。

これから半自動溶接の技術を身につけたいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。

 

半自動溶接とは?

溶接の歴史は古く、溶接材料として溶接棒を使う、いわゆる手棒溶接の「被覆アーク溶接」から、溶接材料が自動で共有され、溶接作業も自動で行われる「自動溶接」や「ロボット溶接」へと進化した経緯があります。

 

「被覆アーク溶接」と「自動溶接・ロボット溶接」の中間にあたるのが「半自動溶接」です。溶接材料として、溶接棒の代わりに非常に長いワイヤーを使います。

 

ワイヤーが続けて自動で供給されるので、「被覆アーク溶接」よりも作業能率が良い点がメリットです。ただし、溶接そのものは手作業なので「半自動溶接」という名称です。

 

半自動溶接の特徴

半自動溶接は大まかにシールドガスを使う「ガスシールドアーク溶接」とシールドガスを使わない「セルフシールドアーク溶接」の2種類に分類できます。

 

どちらかというとシールドガスを使う「ガスシールドアーク溶接」のほうが普及しているため、この記事では「ガスシールドアーク溶接」について解説します。

 

さらに「ガスシールドアーク溶接」はシールドガスに何を使うかによって細分化されていて、名称が変わります。

 

シールドガス
CO2溶接 CO2(炭酸ガス)だけ
MAG溶接 Ar(アルゴン)などの不活性ガスとCO2(炭酸ガス)の混合ガス
MIG溶接 Ar(アルゴン)などの不活性ガスだけ

Ar(アルゴン)にO2(酸素)2%を加えた混合ガス

 

シールドガスによって変わる名称とは、CO2溶接・MAG溶接・MIG溶接の3種類です。

 

半自動溶接のやり方

半自動溶接は、半自動溶接機を使って溶接トーチでワイヤーを加熱して溶かし、部材を接合するというやり方です。

 

アーク放電を利用する「アーク溶接」でもあり、その際に部材の酸化を防止するため、ガスで部材を酸素から遮断(シールド)する「ガスシールドアーク溶接」でもあります。このシールドガスには炭酸ガスやアルゴンガスなどがあります。

 

初心者でも半自動溶接はできる?

溶接方法として最も一般的な被覆アーク溶接の場合は、溶接トーチに溶接棒を取りつけて手作業で行います。そのため溶接の出来栄えは溶接作業者の技量に委ねられます。

 

また、溶接棒をたびたび交換する必要があるため、被覆アーク溶接は初心者には少々難度が高い溶接方法です。

 

半自動溶接の場合は溶接棒の代わりに自動で供給されるワイヤーを使うため、スイッチを押すだけで溶接を始められるという特徴があります。その結果、作業能率も良いので、半自動溶接は初心者でも比較的やりやすい溶接方法です。

 

半自動溶接の種類

半自動溶接はCO2溶接・MAG溶接・MIG溶接の3種類があります。

それぞれの特徴について解説していきます。

 

CO2溶接

シールドガスにCO2(炭酸ガス)だけを使う半自動溶接がCO2溶接です。半自動溶接のなかでは最も一般的で溶け込みが良く、おもに鉄の溶接に使われます。

 

CO2(炭酸ガス)を使うためランニングコストを低く抑えることができますが、ガスシールドアーク溶接なので風の影響を受けやすく、屋内での作業に限られます。

スパッタ(飛び散る金属粒)が多く、仕上がりは普通です。

 

MAG溶接

MAG溶接はシールドガスに混合ガスを使う半自動溶接です。混合ガスは、不活性ガスのAr(アルゴン)80%とCO2(炭酸ガス)20%が一般的です。

 

おもな溶接部材は鉄、風の影響を受けやすいという点はCO2溶接と同様です。CO2溶接との違いは、スパッタが少ないこと。スパッタは出るものの、粒が細かいため取り除きやすいです。そのため美しく仕上がるという特徴があります。

 

炭酸ガスよりもアルゴンガスのほうが高価で溶け込みが浅いため、ランニングコストはCO2溶接より高いです。

 

MIG溶接

シールドガスに不活性ガスのAr(アルゴン)だけ、またはAr(アルゴン)にO2(酸素)2%を加えた混合ガスを使う半自動溶接がMIG溶接です。

 

風の影響を受けやすい点はCO2溶接・MAG溶接と共通しています。

2つの溶接方法との違いは、おもな溶接部材がステンレスやアルミであること、スパッタが非常に少ないので非常に美しく仕上がることです。

 

炭酸ガスを使わないため、鉄系以外のアルミの溶接にも使えます。ステンレスを溶接するときはステンレスワイヤー、アルミを溶接するときはアルミワイヤーを使います。

 

ただし実際にはアルミの溶接ではTIG溶接機を使うのが一般的です。また炭酸ガスを使わない分、ランニングコストが高く、溶け込みが浅いです。

 

半自動溶接のメリットとデメリット

半自動溶接にはメリットもデメリットもあります。デメリットを踏まえたうえで、メリットを上手に活用することがポイントです。

 

半自動溶接のメリット

半自動溶接は手溶接の被覆アーク溶接とは違って自動でワイヤーが供給されるので、溶接速度が速く、作業能率が非常に良いところが大きなメリットです。そのため工場・建築現場・工事現場・造船所などで幅広く活用されています。

 

被覆アーク溶接の場合は溶接棒と溶接トーチの両方を使うため、経験によって培われる技術が必要です。しかし半自動溶接はスイッチを押すだけで手軽に溶接作業を開始できるので、初心者にもおすすめの溶接方法です。

 

半自動溶接のデメリット

大まかに「ガスシールドアーク溶接」と「セルフシールドアーク溶接」の2種類がある半自動溶接ですが、「ガスシールドアーク溶接」の場合は風の影響を受けやすいところがデメリットです。

 

そのため「ガスシールドアーク溶接」は屋外での作業には適していません。屋外で溶接したい場合はシールドガスを使わない「セルフシールドアーク溶接」が適しています。

 

また、「ガスシールドアーク溶接」のなかでもCO2溶接は薄板向きで厚板には適さない、スパッタが出やすいので仕上がりは良くない、作業中に換気が必要といったデメリットがあります。

 

MAG溶接はアルミには不向き、MIG溶接はランニングコストが高く、溶け込み不足になりやすいといった点にも注意が必要です。

 

半自動溶接のコツ

機械をよく選ぶこと、種類ごとの特徴を知っておくことが半自動溶接のコツです。具体的にどういうことなのかについて解説していきます。

 

機械をよく選ぶ

半自動溶接をする際に使う機械は「半自動溶接機」です。ただし、ひとくちに「半自動溶接機」といってもCO2溶接・MAG溶接・MIG溶接の3種類が一体化したものもあれば、個別になっているものもあります。

 

さらにノンガスの「セルフシールドアーク溶接」や非溶極式(非消耗電極式)の「TIG溶接」などの機械も「半自動溶接機」に含まれます。

 

適した溶接部材や仕上がり、作業場所などは溶接方法によって変わってきます。それぞれの溶接方法のメリット・デメリットを踏まえつつ、適した機械を選ぶようにしましょう。

 

種類ごとの特徴を知っておく

3種類それぞれにメリットとデメリットがある半自動溶接。

前述の3種類は電極が溶融する溶極式(消耗電極式)ですが、「ガスシールドアーク溶接」には電極が溶融しない非溶極式(非消耗電極式)の「TIG溶接」もあります。

 

いずれにしても「ガスシールドアーク溶接」はシールドガスを使うため、風の影響を受けやすく、屋内向きです。屋外で作業する場合はノンガスの「セルフシールドアーク溶接」が適しています。

 

さらに「ガスシールドアーク溶接」の3種類のなかでも、ランニングコストを低く抑えたいならCO2溶接、きれいに仕上げたいならMIG溶接などの特徴があります。種類ごとの特徴をしっかり把握することが半自動溶接のコツです。

 

半自動溶接の資格とは

溶接の一般的な資格といえば、日本溶接協会による「溶接技能者資格」です。JIS(日本産業規格)またはWES(日本溶接協会規格)に基づいた試験を受けることによって、資格が認証されます。

 

その「溶接技能者資格」のなかに「半自動溶接技能者資格」もあります。さらに溶接方法・レベル・溶接姿勢によって資格の種類が細分化されています。

 

溶接方法は「マグ溶接」「ティグ溶接とマグ溶接の組合せ溶接」「セルフシールドアーク溶接」の3種類です。レベルは「基本級」か「専門級」の2種類、溶接姿勢は「下向」「立向」「横向」「上向」「水平・鉛直固定」の5種類があります。

 

例えば「マグ溶接・基本級・下向」なら「SN-1F」、「マグ溶接・専門級・立向」なら「SN-1V」と資格の種類記号が決まっています。さらに試験材料の種類や厚さ、継手、開先形状、裏当て金の有無も定められています。

 

15歳以上で溶接経験が1か月以上あれば「基本級」を受験することができます。「専門級」の受験可能年齢は「基本級」と同じですが、溶接経験は3か月以上、「基本級」の資格を取得しているか同時受験という条件があります。

 

初めての場合は学科試験と実技試験の両方を受験します。学科試験は溶接の知識や溶接機・材料などについて、実技試験は外観試験と曲げ試験です。

 

資格の有効期限は1年です。毎年サーベイランスという確認の手続きをし、3年ごとに再評価試験を受けて更新する必要があります。

 

まとめ

半自動溶接は手溶接の「被覆アーク溶接」と「自動溶接・ロボット溶接」の中間にあたる溶接方法です。スイッチを押すだけで溶接を始められ、ワイヤーは自動で供給されますが、溶接自体は手作業です。

 

大まかにシールドガスを使う「ガスシールドアーク溶接」とシールドガスを使わない「セルフシールドアーク溶接」に分けることができる半自動溶接。さらにシールドガスに何を使うかによって「ガスシールドアーク溶接」は3種類に分けられます。

 

  • CO2溶接:炭酸ガスを使用・低コスト・スパッタが多い・仕上がりは普通
  • MAG溶接:混合ガス・やや高コスト・スパッタが少ない・仕上がりはきれい
  • MIG溶接:不活性ガス・高コスト・スパッタが非常に少ない・仕上がりは非常にきれい

 

半自動溶接は被覆アーク溶接よりも作業能率がいいところがメリットですが、3種類の「ガスシールドアーク溶接」の場合は風に弱いため屋外の使用には適さないところがデメリットです。

 

「ガスシールドアーク溶接」としては溶極式の3種類のほかに、非溶極式の「TIG溶接」もあります。ノンガスの「セルフシールドアーク溶接」も含め様々な種類があるので、特徴を踏まえて適切な機械を選ぶことが半自動溶接のコツです。

 

日本溶接協会の半自動溶接技能者資格も溶接方法や溶接姿勢などによって細分化されているので、適した資格を取得するようにしましょう。

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