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2023.07.31 溶接topics

重量鉄骨と軽量鉄骨の違いは?法定耐用年数やメリットデメリットも

目次

鉄骨造(S造)には、「軽量鉄骨」と「重量鉄骨」という種類があることをご存知でしょうか?また、これらの違いはどこにあるのか知っていますか?鉄骨造(S造)は、柱や梁など建物の骨組みに鉄骨を使用する工法・構造であり、使用する鋼材の厚さによって「重量鉄骨」と「軽量鉄骨」に分類されます。

今回は、「重量鉄骨」と「軽量鉄骨」の特性や法定耐用年数、各メリット・デメリットについてご紹介します。

 

重量鉄骨と軽量鉄骨の基礎知識

重量鉄骨

重量鉄骨は、一般に「厚さ6mm」以上の鋼材のことを指します。

強度を必要とする大規模なマンションや商業施設、工場などを建設することができます。これは、軽量鉄骨よりも重量鉄骨の方が強度に優れているためです。

 

軽量鉄骨

軽量鉄骨は、一般に「厚さ6mm」未満の鋼材のことを指します。

軽量鉄骨は、鋼材の薄さから、比較的小規模の建物に採用されています。例えば、平屋や戸建て住宅、アパート、小規模店舗や低層住宅の建築に適しており、階数としても2~3階建ての低層建物が中心となります。また、多くのハウスメーカーの注文住宅や賃貸の鉄骨系プレハブ住宅では、軽量鉄骨が多く採用されています。

 

重量鉄骨と軽量鉄骨の法定耐用年数の違い

建築物には法的な耐久性を表す「法定耐用年数」というものがあります。法定耐用年数とは、投資用不動産などの確定申告の際に減価償却費を計算する際に指標となるものであり、税制上ではその年数を超えると建物の価値がゼロとみなされます。

減価償却費とは、長期間で利用する目的で購入した物件の場合、数年から数十年の期間に渡り、少しずつ経費として配分する会計上の仕組みのことで、節税対策に有効とされています。法定耐用年数は国税庁で決められており、鋼材の厚さによって法定耐用年数が異なります。

 

【例:住宅用・店舗用のもの】

鋼材の厚さ3mm以下 19年

鋼材の厚さ3mm超4mm以下 27年

鋼材の厚さ4mm超 34年

国税庁:主な減価償却資産の耐用年数表

 

軽量鉄骨は重量鉄骨に比べて法定耐用年数が短いため、減価償却費を多く計上することができます。一方で、重量鉄骨は軽量鉄骨に比べ法定耐用年数が長いため、減価償却に時間がかかってしまい毎年の税金は多くなります。また、法定耐用年数は「建物の資産価値を測るための基準」という意味合いが強く、「建物の寿命」というわけではありません。

 

 

重量鉄骨と軽量鉄骨のメリット・デメリット

重量鉄骨のメリット

強度が高い

柱や梁も厚く強度があり、少ない本数で骨組みを作ることが可能となるため、非常に丈夫で安定感があります。柱と梁を剛接合する「ラーメン構造」の場合だと、「筋交い」と呼ばれる補強部材や「耐力壁(構造を支える壁)」の省略もできます。剛接合した太い鉄骨の柱と梁だけで、十分に地震や津波などの災害にも耐えることができます。

 

広々とした空間をつくり出すことができる

頑丈な鋼材を使用することで、柱や梁の本数を減らすことが可能となります。柱と柱の間の距離を大きくとることができるので、広々とした空間をつくり出すことができます。筋交いが不要になることによって、広い窓や空間をとることができるため、ロードサイドなどの店舗には重量鉄骨を使用する建築物が多いです。また、仕切りを移動して模様替えやリフォームも簡単にできます。

 

軽量鉄骨に比べて防音性に優れている

柱や梁の強度が高くなるため、壁や天井も厚くなります。それゆえに、音が伝わりにくくなりますし、骨組みが低音まで吸い取りやすいため振動による音も軽減されます。

 

重量鉄骨のデメリット

建築費用が軽量鉄骨に比べて高い

重量鉄骨造はその骨組みの重さから、家を建てる前に地盤の改良をしっかりと行う必要があるため、建築部材や地盤工事に費用がかかりやすくなります。建築部材の費用は、鉄骨の厚みが増せば、それだけ材料費が高くなってしまいます。地盤の補強工事の費用は、軽量鉄骨の場合、建物の重さが比較的軽く済むため、杭が不要となる場合がありますが、重量鉄骨では重量が増すため、地盤によっては補強工事が必要となります。

 

夏は暑く、冬は寒くなりやすい

鉄は熱伝導率が高いため、夏に暑く冬に寒くなりやすくなります。木造のように湿度を吸収してくれるわけではないため、湿度の高い地域では注意が必要です。

 

軽量鉄骨のメリット

建築費用が重量鉄骨に比べて安い

鋼材が重量鉄骨よりも薄く軽量であるため、建築工期を短期間で仕上げることが可能になり、その分安価で済むのです。また、鋼材が軽くなる分、建物自体の重さも軽減できるため、強固な土壌でなくても建築物を建てることができますし、地盤改良にかかる費用も安く済ませることができます。

 

大量生産が可能

軽量鉄骨造でよく使われる工法の「プレハブ工法」という建築方法では、柱などの主な建築部材をあらかじめ工場で一定の部品として製造できるため、鉄骨自体も大量生産してしまいます。大量生産された部材を工場加工することで、現地組み立ての技術も容易になります。

 

品質のバラつきが少ない

「プレハブ工法」では、建築に使う部材をロボット等を活用した大量生産可能な規格化されたものを使用するので、品質の違いも少なく安定していて一定の水準で建設することができます。

 

重量鉄骨のデメリット

重量鉄骨に比べて強度が弱い

この点を補うために、「筋交い」と呼ばれる補強部材を入れたり、鉄骨の本数自体を増やしたりという対応が求められます。

 

間取りに制限がある

軽量鉄骨は、強度を補うために柱と梁に加えて「筋交い」を用いる「ブレース構造」であることが多いです。柱の間にブレースを入れると、大きい窓を作ることができなかったり、十分な強度を得るために柱の数を多くしたりする必要があるため、広い空間を設けることが難しくなります。また、この壁は撤去することが難しいので、間取りに制限が出てしまいます。

 

防音性や断熱性が低い

壁や天井などの骨組み以外には木造と同じ素材が使われるため、防音性は木造と同程度と言われています。また、耐火性も同じであまり高くはありません。軽量鉄骨は高い熱にさらされると木材よりも影響を受けやすく、倒壊しやすいと言われています。

 

 

まとめ

今回は、「重量鉄骨」と「軽量鉄骨」の基礎知識やメリット・デメリットを解説しました。鉄骨の厚みが異なることで、建てられる建築物にも違いが出てきます。今年で会社設立76周年を迎えた影山鉄工所では、世界に誇れる溶接技術で鉄骨工事一式の事業に携わっています。70余年に渡り培ってきた熟練の技術と最先端の技術を用いて、施工主様の希望や夢を具現化しています。鉄骨製造の発注をご検討中の方は、是非影山鉄工所までご相談ください。

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