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2019.09.26 溶接topics

溶接の資格の種類、難易度、受験費用を解説!取得条件や方法は?

目次
可燃性ガスを使って溶接したり溶断作業したりする人は、ガス溶接技能講習を受ける必要があります。この他にも溶接には、色々な資格があり、取得することで様々な仕事に活かすことができます。 ここでは、溶接の資格の種類をはじめ、難易度、受験費用、取得条件や方法を紹介します。  

溶接の資格とは?

溶接は、技術が必要な上、溶接を安全に行う必要があります。 溶接では、ガスを使ったり、火花が飛んだりするので、知識などを学んだり、実務経験を経て溶接の資格を取得する必要があります。   溶接の資格は、溶接する対象物や溶接する方法などの違いから、種類がわけられています。 国が与える溶接の資格もあれば、民間団体が与える溶接の資格もありますので、注意して選んで下さい。  

溶接の資格の種類/難易度/受験費用/取得条件/方法

溶接の資格の種類は、大きく分けて「アーク溶接作業者」「ガス溶接技能者」「ガス溶接作業主任者」「アルミニウム溶接技能者」「ボイラー溶接士」「溶接管理技術者」「溶接作業指導者」などがあります。 それぞれの溶接の資格は「難易度」「受験費用」「取得条件」「方法」が違うので詳しくご紹介します。  

アーク溶接作業者

アーク溶接を行う際には、アーク溶接作業者を取得する必要があり、国家資格となります。  

難易度

アーク溶接作業者の資格は、ほぼ全員合格しますので安心して下さい。 アーク溶接の取扱に関する講習をしっかり受講すれば、ほぼ資格を取得できます。  

受験費用

アーク溶接作業者の資格取得に必要となる費用は、1〜2万円となっています。この費用は、受講料となっており、それ以外の費用はかかりません。 受講料は、講習の実施団体によって違いがあり、次の通りです。
  • 公益社団法人東京労働基準連合会:15,420円
  • 一般社団法人労働技能講習協会:12,330円
  • 一般財団法人労働安全衛生管理協会: 11,330円
 

取得条件

アーク溶接作業者の取得条件は、満18歳以上であることです。  

取得方法

アーク溶接作業者の資格を取得するためには、講習を受けなければなりません。 講習内容は、学科講習が2日間(11時間)、実技講習が1日間(10時間)となっており合計で3日間(21時間)です。  

ガス溶接技能者

ガス溶接技能者とは、労働安全衛生法に定めがあるガス溶接技能講習を修了しており、ガスを使って溶接する技能者です。ガス溶接技能者の資格は、国家資格となっています。  

難易度

講習や終了考査によって資格が取得できます。講習を受講した人のほとんどが合格するそうなので、難易度は低いです。  

受験費用

ガス溶接技能者の資格取得に必要となる費用は、13,000円〜18,000円程度となっています。この費用は、受講料や教材費で、それ以外の費用はかかりません。 受講料や教材費は、講習の実施団体によって違いがあり次の通りです。
  • 日本産業技能教習協会:受講料:16,200円、教材費:1,650円
  • 労働技能講習協会:受講料:12,400円、テキスト代:720円
 

取得条件

受講条件は、18歳以上となっています。  

取得方法

ガス溶接技能者の資格を取得するためには、講習を受けます。受講時間は、14時間を2日間に分けて実施します。  

ガス溶接作業主任者

アセチレン溶接装置などを使って溶接する際に、ガス溶接作業主任者の選任が義務付けられています。ガス溶接作業主任者は、アセチレン溶接を使って、金属を溶接したり切断したりする作業で、作業する方法の決定や指揮をとります。ガス溶接作業主任者は、国家資格となっています。  

難易度

ガス溶接作業主任者の合格率は、約86%となっているので比較的難易度は低いです。  

受験費用

受験費用は、受験料として6,800円  

取得条件

基本的には、取得条件はありませんが、本人確認証明書や合格した後実務経験などを証明する書類が必要になります。  

取得方法

ガス溶接作業主任者の試験があり、合格すればガス溶接作業主任者の資格が得られます。試験は20問となっており所要時間は3時間となっています。  

アルミニウム溶接技能者

アルミニウム溶接技能者の資格は、アルミニウムの「ティグ溶接」や「ミグ溶接」の技能を認定されることで取得します。一般社団法人軽金属溶接協会が行っている試験です。  

難易度

アルミニウム溶接技能者の合格率は、約80%となっており、比較的難易度は低いです。  

受験費用

  • 学科試験:1,130円
  • 実技:8,040から50,770円
 

取得条件

ティグもしくはミグの基本級は、1ヶ月以上の期間、アルミニウムの溶接技能を取得した人(満15歳以上)。 ティグもしくはミグの専門級は、3ヵ月以上の期間、アルミニウムの溶接技能を習得した人(満15歳以上)で、受験種類に対応できる基本級の資格を所有することが条件です。 基本級と専門級を同じタイミングで受験することもできます(基本級の資格に合格することが条件)。  

取得方法

試験では、学科試験と実技試験が実施されます。学科試験の内容は、溶接用のアルミニウム合金材料、容加材と溶接部の性質、溶接施行法についての概要や溶接災害防止法などとなっています。 実技試験では、薄板をはじめ、中板、厚板、パイプの突合せ溶接や試験材の表曲げ、裏曲げなどの試験を行います。  

ボイラー溶接士

労働安全衛生法の定めによってボイラーなどの溶接を仕事にする際は、ボイラー溶接士の資格を取得する必要があり、国家資格となっています。 ボイラー溶接士の資格には大きく2種類あり、特別ボイラー溶接士と普通ボイラー溶接士となっています。 特別ボイラー溶接士は、全タイプのボイラーや第1種圧力容器を製造したり改造したりできる上、修繕もできます。この資格があれば、全てのボイラーの溶接業務に関わることができます。 普通ボイラー溶接士の資格を取得すると第1種圧力容器、フランジや管台の溶接ができます。  

難易度

特別ボイラー溶接士の筆記試験は、61%程度、特別ボイラー溶接士の実技は、92.5%になっています。 普通ボイラー溶接士の筆記は、51%程度、普通ボイラー溶接士の実技試験は、63.5%程度となっており、ボイラー溶接士の難易度は様々です。  

受験費用

  • 学科試験:6,800円(特別ボイラー溶接士、普通ボイラー溶接士)
  • 実技試験:21,800円(特別ボイラー溶接士)、18,900円(普通ボイラー溶接士)
 

取得条件

特別ボイラー溶接士は、普通ボイラー溶接士の資格を取得した後、1年以上の実務経験がある人が対象です。 普通ボイラー溶接士は、1年以上の溶接実務経験が必要です。  

取得方法

ボイラー溶接士の資格を取得するためには、学科試験と実技試験に合格する必要があります。特別ボイラー溶接士の学科試験は、40問で、所要時間は2時間30分となっています。 内容は、ボイラー構造・材料やボイラー工作・修繕の知識をはじめ、溶接施工方法や溶接棒・溶接部の性質、溶接部検査の概要、溶接機器取扱い知識、安全知識、法令関係となっています。 特別ボイラー溶接士の実技試験の所要時間は、1時間で横向き突合せ溶接となっています。   普通ボイラー溶接士の学科試験は、40問で、使用時間は2時間30分となっています。 内容は、ボイラー構造・材料やボイラー工作・修繕の知識をはじめ、溶接施工方法や溶接棒・溶接部の性質、溶接部検査の概要、溶接機器取扱い知識、安全知識、法令関係となっています。 普通ボイラー溶接士の実技試験の所要時間は、1時間となっており、内容は下向き・立向き突合せ溶接です。  

溶接管理技術者

溶接管理技術者とは、一般社団法人日本溶接協会の溶接管理技術者認証基準に基づいた資格です。溶接の技術と知識、施工、管理に関して専門的な職務能を認証する資格試験です。この資格は、特別級や1級、2級に分けられており、溶接作業の仕事以外にも、色々な分野で取得が推奨されています。  

難易度

溶接管理技術者の合格率は、1級が30%、2級が50%程度となっており難易度は比較的高いです。  

受験費用

  • 筆記試験は特別級が25,920円、特別級筆記Ⅰ免除、1級、2級が12,960円
  • 口述試験は特別級が27,000円1級、2級21,600円
 

取得条件

取得条件は、等級に対応した職務経験や資格などが必要となります。  

取得方法

筆記試験と口述試験を受験して合格する必要があります。 特別級の筆記試験Ⅰの内容は、溶接法をはじめ、溶接機器、溶接冶金、溶接材料、溶接力学、溶接設計、溶接施工及び管理、安全衛生、試験検査となっています。 特別級の筆記試験Ⅱの内容は、材料・溶接性、設計、施工管理、溶接法・機器となっています。 特別級の口述試験の内容は、溶接施工、管理の経験、知識となっています。 1級・2級の筆記試験の内容は、溶接法をはじめ、溶接機器、溶接冶金、溶接材料、溶接力学、溶接設計、溶接施工及び管理、安全衛生、試験検査となっています。  

溶接作業指導者

溶接作業指導者の資格は、溶接の作業で、指導する立場で経験がある溶接作業者に与えられます。溶接作業指導者は、作業する現場において作業の順序や溶接の条件など溶接事項を溶接作業者へ指示したり、監督したりします。運棒操作を指導することが多く、実務経験を積んだ溶接班長が取得する資格です。  

難易度

受験した人は、ほぼ全て合格率するそうで、難易度としては低めの資格です。  

受験費用

受験費用は、54,050円(新規受験)、23,600円(溶接管理技術者の資格を保有)、12,600円(再受験)です。  

取得条件

満25歳以上の人で、「JIS Z3801をはじめ,JIS Z3805,JIS Z3811,JIS Z3821、JIS Z3841取得者」又は「公的な団体が実施する技能検定の資格に持っている人や資格を持っていた人」が対象です。  

取得方法

技術講習会を受講し、学科試験に合格して得られる資格です。 受講内容は、溶接指導の一般的知識をはじめ、非破壊試験、被覆アーク溶接/厚板と高張力鋼の溶接や切断、半自動アーク溶接/薄板の溶接、ティグ溶接、ステンレス鋼の溶接、自動溶接やロボット溶接 / 最先端の溶接技術、溶接の品質管理や作業の管理、溶接構造物の強度や設計、安全衛生と管理となっています。  

溶接資格が活かせる仕事

溶接の資格は、金属部品や建築物の基礎を加工したり、車両や業務用機器を製造したりする仕事に活かせます。 機械製品に使われている色々な金属部品は、切削や成型などの加工を施し完成します。 切削や成型した金属部品を溶接することで、更に複雑な機能をもった部品に仕立てることが可能になります。 例えば、精密機器の小型部品を接合するためには、作業に繊細さが必要になり、手先が器用で根気強い人が向いています。IT機器の部品を製作する際に、細かな溶接技術が必要です。金属部品の用途は非常に幅広く、必要な溶接技術も異なるため、適切な溶接技術をもった技術者が求められます。   一方、建築物の基礎を加工する際に、溶接の技術を使って母材と母材を接合することがあります。建築物の基礎の溶接する際は、適切な接合が施されないと、脆弱性な建築物に仕上がってしまう可能性があり、高い技術が必要です。一般的には、建築物は工場内でアーク溶接を施して現場に届けることが多いです。 比較的大型のものを長い時間にわたって作業できる半自動アーク溶接の経験が活かせます。建築物の基礎は、適切な溶接が施されていないと強度不足になる可能性があり、技術や責任感が必要な仕事です。   溶接の技術は、自動車をはじめ、電車、運搬用コンテナ、業務用機器を製造する仕事に使われています。車両や機器の部品を結合するために、大きな溶接機器を使います。車を軽くするため、薄型の板金を使う必要があり、抵抗スポット溶接が行われています。最近では、最新のレーザー溶接も採用されるようになりました。 業務用機器の製造では、半自動アーク溶接やTIG溶接が使われるので、資格があると溶接の技術が活かせます。また、大型の溶接機器で溶接されるため、経験があれば活かせます。 強度や安全性を重視する車両や業務用機器には、適切な溶接を施す必要があります。   ご紹介したように溶接の技術者の採用基準は様々なですが、溶接の資格が条件になったり経験があればOKだったりします。ただ、未経験でも採用する会社もあり、溶接の経験や資格をない人でも仕事に就く事ができない訳ではありません。  

溶接資格を維持する方法

溶接資格の維持は、3年サイクルで行われます。 1年目の有効期限日の3ヵ月より前にサーベイランスの通知が届きます。審査に必要な内容を記入して、サーベイランス手続きを行います。 同じように、2年目の有効期限日の3ヵ月より前にサーベイランスの通知が届きます。これもまた審査に必要な内容を記入して、サーベイランス手続きを行います。 3年目の有効期限日の8ヵ月より前に更新のお知らせが届きます。2~8ヵ月前に再評価試験を受けて合格すると3年サイクルが完了します。 サーベイランスは資格を認証された人が認証要求事項に対して、継続的に合致していることを業務従事証明によって確認することです。  

溶接資格取得者の声

Aさん「アーク溶接は、電流の調整に加え、溶接棒と溶接する金属の距離を一定に保つことが重要です。ガス溶接は、溶接する金属の厚さによって、温度や加熱スピードを調節することが重要です。」   Bさん「溶接がやりにくい狭い場所もありますが、キレイに溶接できるとうれしいです。職人の力が発揮される場面でうまくできると嬉しいです。」   Cさん「溶接をしていると、上手にできることもあるし、そうでないときもあることは確かです。上手にできた日が続くと充実感はありますね。」  

溶接資格のおすすめ本・書籍5選

・JISプラスチック溶接受験の手引―JIS Z 3831プラスチック溶接技能者研修用テキスト (単行本: 156ページ 出版社: 産報出版 (2005/05)日本溶接協会広報出版委員会 (編集)) 解説:(社)日本溶接協会のJIS資格の中で、プラスチック溶接資格の取得する際に使う本。   ・新版JISステンレス鋼溶接受験の手引―JIS Z 3821ステンレス鋼溶接技能者研修テキスト (単行本: 264ページ出版社: 産報出版 (2017/6/1)日本溶接協会出版委員会 (著)) 鯉説:ステンレス鋼の知識と溶接方法などが書かれており、巻末にある問題集を解けるようになれば学科試験の対策になります。 発行時期で内容が違うことがあるので、新刊の購入をおすすめします。   ・JIS銀ろう付受験の手引―JIS Z 3891銀ろう付技能者研修テキスト (単行本: 173ページ出版社: 産報出版 (2003/07)日本溶接協会広報出版委員会)) 解説:JIS銀ろう付資格の取得する際に使う本。   ・JIS半自動溶接受験の手引―JIS Z3841半自動アーク溶接技術検定試験テキスト (単行本: 273ページ出版社: 産報出版 (1992/5/25)日本溶接協会溶接技術検定委員会 (編集)) 解説:炭酸ガスアーク半自動溶接などガスシールドアーク溶接における溶接作業者の資格を取得する際に使用する本です。   ・JISチタン溶接受験の手引―JIS Z 3805チタン溶接技能者研修用テキスト (単行本: 132ページ出版社: 産報出版 (2004/02)日本溶接協会広報出版委員会 (編集)) 解説:チタン溶接の基本的な知識や作業する方法、資格を取得する方法などが簡単に理解しやすいように書かれた本。チタン溶接の資格取得を目指す人のための本。  

溶接資格のおすすめ講座3選

■ 溶接法(JTEX 職業訓練法人日本技能教育開発センター、受講期間:4ヵ月、レベル:初級 中級) https://www.jtex.ac.jp/products/detail/166 解説:溶接法は、溶接技術の全般を学習して実践力を習得する通信講座です。 溶接技術は、産業構造が変化する昨今で、その技術の内容も変わり対象も広がっています。 この通信講座は、溶接技術全般(溶接加工の基本をはじめ、溶接法や技術の流れ)について、理解しやすくできています。   ■ 現場に役立つ溶接の基礎( JTEX 職業訓練法人日本技能教育開発センター、受講期間:3ヵ月、レベル:入門 初級) https://www.jtex.ac.jp/products/detail/160 解説:現場に役立つ溶接の基礎では、現場からニーズがある溶接作業の基本を学ぶ通信講座です。 カラーの図や画像を使って溶接の専門知識が理解しやすく解説されています。 章末問題は、溶接技能者資格の学科試験の対策に、ぴったりな問題が記載されています。   ■ ガス溶接技能講習(都立多摩・城東職業能力開発センター) http://www.kenshu-center.jp/kousyu/gasu.html 労働安全衛生法では、可燃性ガスを使って溶接したり溶断作業したりする人には技能講習の修了を義務づけているので、ガス溶接技能講習が行われています。18歳以上が受講の資格です。  

まとめ

溶接の資格の種類をはじめ難易度、受験費用、取得条件や方法を紹介しました。 溶接の資格には、色々な種類があり、難易度も違いますが、自分の仕事内容に合わせて取得したり、溶接の技術を向上させたりするために取得することをおすすめします。 また、溶接を行う職場は、楽な作業ばかりではないですが、高給を稼げることもあるので、資格取得に挑戦する価値は大いにあります。
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