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2023.05.31 溶接topics

鉄骨工場のグレードとは?グレードについて徹底解説!

目次

皆さんは鉄骨工場の「グレード」という言葉を耳にしたことがあるでしょうか?

多くの高層ビルや倉庫、工場は鉄骨造で建てられていますが、それら建屋の骨組みとなる柱や梁は「鉄骨工場」と呼ばれる場所で製作されています。日本には数多くの鉄骨工場がありますが、鉄骨工場は「グレード」というランクがつけられています。ここでは鉄骨の各グレードの種類や、グレードの認定基準、鉄骨工場にグレードが重要な理由について説明します。

 

鉄骨工場のグレード

鉄骨製作工場認定制度により、鉄骨工場は全5段階のグレードに分けられています。工場の製作能力や設備、技能者や資格保有者の人数などに応じて定められる「グレード」は、上から順にSグレード・Hグレード・Mグレード・Rグレード・Jグレードとなります。S~Jはそれぞれ以下の略称となっています。

 

Sグレード:Super

Hグレード:High

Mグレード:Middle

Rグレード:Regular

Jグレード:Junior

 

この工場認定制度では、鉄骨製作工場で製作される建築鉄骨の品質保証(特に溶接部)の信頼度を評価し、評価結果に基づき国土交通大臣が認定しています。グレードの目的は、鉄骨製作工場が適正な品質の建築鉄骨を生産・供給するために必要な品質管理能力と技術力を保有していることを発注者に証明することです。グレードによって、建てられる建物の大きさや取り扱える鋼材の種類が変わります。認定の範囲内において、私たち鉄骨工場では鉄骨の製作を行うことができます。

 

各グレードの説明

次に、各グレードと鉄骨構造物の具体的な製作範囲について説明します。

 

【Jグレード】

建物規模:3階建て以下

延べ床面積500㎡以内

高さ13m以下 / 軒高10m以下

使用鋼材:400N級炭素鋼  板厚16mm以下

※ただし、開先加工を施さない通しダイヤフラム、ベースプレート及びノンダイヤフラム形式柱梁接合部の板厚は、400N級炭素鋼やTMCP鋼で75mm以下、SS400で50mm以下、490N級炭素鋼で50mm以下(TMCP鋼を除く)

作業条件:原則 下向き姿勢/溶接技能者の資格はSA-2F 又はA-2F

 

【Rグレード】

建物規模:5階建て以下

延べ床面積3,000㎡以内

高さ20m以下

使用鋼材:400N・490N級炭素鋼  板厚25mm以下

※ただし、開先加工を施さない通しダイヤフラム、ベースプレート及びノンダイヤフラム形式柱梁接合部の板厚は、400N級炭素鋼やTMCP鋼で75mm以下、SS400で50mm以下、490N級炭素鋼で50mm以下(TMCP鋼を除く)

作業条件:原則 下向き姿勢/溶接技能者の資格は SA-3F 又は A-3F

 

【Mグレード】

建物規模:制限無し

使用鋼材:400N・490N級炭素鋼  板厚40mm以下

※ただし、開先加工を施さない通しダイヤフラム、ベースプレート及びノンダイヤフラム形式柱梁接合部の板厚は、40mmを超えることができる。

作業条件:下向き及び横向き姿勢/溶接技能者の資格はSA-3F 及びSA-3H 又はA-3F 及びA-3H

 

【Hグレード】

建物規模:制限無し

使用鋼材:400N・490N・520N級炭素鋼  板厚60mm以下

※ただし、開先加工を施さない通しダイヤフラム、ベースプレート及びノンダイヤフラム形式柱梁接合部の板厚は、60mmを超えることができる。

作業条件:下向き、横向き及び立向姿勢/溶接技能者の資格は SA-3F、SA-3H 及び SA-3V 又は A-3F、 A-3H 及び A-3V

 

【Sグレード】

建築規模はもちろん、材質、板厚、作業条件などに一切の制限が設けられていない最上級のグレードです。使用する鋼種及び溶接材料に適合した、適切な作業条件を自主的に計画し、適切な品質の鉄骨を製作できる体制を整えています。ただし、Sグレードになる為には、研究所が必要などの厳しい基準が設定されています。最高ランクのSグレードの審査と評価は厳しく、現在全国に7工場しかありません。(2023年2月28日現在)

 

グレードの認定基準

鉄骨工場のグレードを決めるためには、専門機関の審査と評価を受ける必要があります。

現在、日本には2つの専門機関があります。

 

・株式会社全国鉄骨評価機構(JSAO)

・株式会社日本鉄骨評価センター(国土交通大臣指定性能評価機関)

 

専門機関が、国土交通大臣の認可を得た評価基準に基づき公正・厳正な評価を行います。これに基づき、国土交通大臣が建設規模と使用鋼材の適用範囲に応じ、5グレード(S、H、M、R、J)に区分し認定しています。また、認定期間は5年です。繰り返し更新が必要となるため、常にクオリティの高さを維持していく必要があります。

 

鉄骨の品質は、鉄骨製作においての品質管理能力と技術力の高さによります。このため、工場認定では以下の点を厳正に審査、評価しています。

 

・品質管理体制(組織、管理技術者)

・社内基準の内容

・製造設備・検査設備の種類と管理

・製作実績および研究開発能力

・製作および品質管理の実施状況

 

評価基準(審査)は、書類審査と工場審査の2つがあります。

 

書類審査

・品質管理の組織体制

・所定の資格者の有無・配置

・社内規格(工作基準・検査基準・製作要領書作成基準・外注管理基準)の内容

・所定の製造設備・検査設備の有無

 

工場審査

・主要材料・加工・組立て・組立て溶接および溶接に関する品質管理状況

・溶接入熱・パス間温度の管理状況

・製品の検査方法

・製造設備・検査設備の点検状況

・社内教育の実施状況

 

株式会社全国鉄骨評価機構(JSAO)参照

 

製作工場がグレードに応じた能力が有るかどうかを学識経験者などの「評価員」が評価し、一定の基準以上であることを認めた場合、認定されます。

 

鉄骨工場のグレードが重要な理由とメリット

次に、なぜ鉄骨工場のグレードが重要なのかをお伝えします。

それは、各グレードが建設する建物の安全性を担保することで、鉄骨工場の信頼性向上に繋がるからです。生産される鉄骨の信頼度が高いほど、建設された建物は安全であると言えます。グレード認定されることによって、しっかりとした検査体制も担保されます。安心して任せられる鉄骨工場であると認められれば、建設業界での信頼度も上がるため、次の仕事へと繋げていくことができるのです。また、認定制度を実施しているのは国土交通省であるため、審査と評価をクリアすれば「国に認められた工場」となることも大きなメリットとなります。

 

まとめ

ここまで、鉄骨の各グレードの種類や、グレードの認定基準、鉄骨工場にグレードが重要な理由についてご紹介しました。前述でお伝えした通り、どのグレードを取得している工場で生産された鉄骨なのかによって、使用できる鋼材の種類や建物の規模が変わります。全国では大小合わせて1万以上の鉄骨製作工場があると言われていますが、国土交通大臣が認定する鉄骨製作工場は上場企業の大規模工場から数人の従業員の町工場まであり、その数約3000工場にも及びます。その中で、当社株式会社影山鉄工所は2021年10月にHグレードに昇格しました。「安心・安全・信頼」を基盤に鉄鋼技術向上に務め、鋼構造物のある豊かな人生と社会を築くことを目標としています。鉄骨製造の発注をご検討中の方は、是非影山鉄工所までご相談ください。

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