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2024.11.30 溶接topics

鉄骨製作工場におけるSグレード解説!認定基準や特徴について紹介

目次

鉄骨製作工場における「Sグレード」は、製品の品質や性能の基準を示す重要な指標です。

Sグレードの審査と評価は他のグレードと比較して最も要求が高く、Sグレード認定工場をもつ企業は日本に10社前後しか存在しません。

本記事では、Sグレードの定義や特徴について詳しく解説します。

グレードとは

鉄骨製作工場認定制度により、鉄骨製作工場は全5段階のグレードに分けられています。

この工場認定制度では、鉄骨製作工場で製作される建築鉄骨の品質保証(特に溶接部)の信頼度を評価し、国土交通大臣が認定します。

グレードの目的は、鉄骨製作工場が適正な品質の建築鉄骨を生産・供給するために必要な品質管理能力と技術力を保有していることを発注者に証明することです。

グレードについてさらに詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

鉄骨工場のグレードとは?グレードについて徹底解説!- 株式会社影山鉄工所

Sグレードの定義

5段階のグレードは上から順に「S(Super)>H(High)>M(Middle)>R(Regular)>J(Junior)」となっています。

Sグレードは極めて高い溶接技術や管理体制が保証された工場のみに与えられる最高位のグレードです。

Sグレード認定工場では、設計事務所やゼネコンから指示を受けるだけではありません。自社で研究開発を積み重ね、新しい技術の開発・導入や既存技術の改良を通じて、製品の品質をさらに向上させ、世の新たなスタンダードの礎を模索します。各所で定めた規定を超え、最先端の技術や知識、研究で自己解決をし、実験データの取得を元に規定外のことを可能とする体制を持つ、規格外のグレードです。

Sグレードの特徴

無制限の対応能力

Sグレード認定工場は、建物の規模や使用する鋼材に制限がありません。どんな大きさの建築物でも、どの種類の鋼材でも扱うことが可能であるため、あらゆる案件に対応することができます。そのため、Sグレード認定工場を持つ企業が数社集まり建設プロジェクトを行うこともあります。

高度な技術力と設備体制

Sグレード認定工場は、設計事務所やゼネコンから指示を受けるだけではありません。各所で定めている規定を超えた最先端の技術、知識、研究を持ち、自己解決能力と実験データの取得を元に規定外のことを可能とする体制を使い、自発的に提案をしていきます。

例えば、株式会社永井製作所は2022年、日建設計社と日本製鉄社の3社で共同開発を行い、「反転スカラップ工法」で特許を取得しました。この工法は加工費用の削減や現場の工数低減、溶接時の二酸化炭素使用量の低減が可能な上、破断形状を改良できるため、従来の改良スカラップと比較し、耐震性にも優れています。

このように、鉄骨製作の分野での技術革新が促進され、業界全体の発展に寄与しています。

厳しい品質管理

Sグレード認定工場は、国土交通省が指定する評価機関による厳しい審査を受けており、超音波(UT)による非破壊検査などの一般的では無い、工事に即した保証方法を実施するための品質管理体制が確立されています。また、自社で研究開発を積み重ね、新しい技術の導入や既存技術の改良をすることで、製品の品質を向上させています。

超高層建築物に不可欠なBOX柱の製作

Sグレード認定工場は、一般的なBOX柱(ボックス柱)の製作が主流です。BOX柱は、高層建築物に使用される柱の一種で、通常は鋼板を四角形または長方形に組み合わせ溶接して作られます。鉄骨造(S造)建築構造物の柱材は、「コラム」と呼ばれる大径角形鋼管が主に使用されています。しかし、サイズや板厚、材質に上限があるため、規格以上の性能が必要な超高層建築物の柱材として、BOX柱が使用されます。

Sグレード認定工場は、BOX柱を製造する設備が必須となっており、大型部材が必要となる超高層建築物の鉄骨を製作するのに適しています。

認定の更新

Sグレードの認定は5年ごとに更新されるため、常に高い品質を維持する必要があります。これにより、工場は継続的な改善を行っています。

Sグレードの認定基準

Sグレードの認定を受けるためには、国土交通省が指定する専門機関による厳格な審査が行われます。審査では、学識経験者など公正な評価員や調査員による、書類審査及び工場審査(書類等の確認)と工場審査(実施の確認)を経て評価されます。審査は以下の3つの段階で構成されています。

書類審査

・品質管理体制

・社内基準の整備

・製造設備の種類

・検査設備の種類

・製作実績リスト

工場審査(書類等の確認)

・工場の品質管理体制

・工作図作成基準の整備

・工作基準の整備

・検査基準の整備

・製作要領書作成基準の整備

・外注管理基準の整備

・工作図又は加工図の品質管理

・製作要領書の品質管理

工場審査(実施の確認)

・主要材料の品質管理

・加工の品質管理

・組立ての品質管理

・組立て検査の品質管理

・溶接の品質管理(ロボット溶接を含む)

・製品の検査方法

・製造設備の種類

・検査設備の種類

・社内教育の方法

Sグレード認定工場で製作された製品の用途

Sグレード認定工場で製作された製品は、品質管理が厳格で、高度な技術と設備を備えた工場で製造されています。そのため、顧客からの信頼性が非常に高いです。これにより、超高層ビルや大空間建造物、スタジアムなどの特異な設計が求められる建物や、橋梁、トンネルなどの公共インフラの建設でもSグレードの製品が使用されます。

まとめ

このように、Sグレードの認定は鉄骨製作工場の信頼性を高め、顧客に対して高品質な製品を提供することを保証します。鉄工所を選ぶ際には、資格、実績、技術力、コスト、納期を考慮し、信頼できるパートナーを見つけることが重要です。

株式会社影山鉄工所は2021年10月にHグレードに昇格しました。「安心・安全・信頼」を基盤に鉄鋼技術向上に務め、鋼構造物のある豊かな人生と社会を築くことを目標としています。鉄骨製造の発注をご検討中の方は、ぜひ影山鉄工所までご相談ください。

【参考文献】

大臣認定工場の検索 - 一般社団法人 全国鐵構工業協会

大臣認定取得工場の検索|株式会社全国鉄骨評価機構

jsa-center.co.jp/ninteis.htm

「質」にこだわり九州では1社、全国では16社のSグレード認定! 時代の変化に合わせ改革を進める株式会社永井製作所の永井社長 | COCO COLOR KUMAMOTO(ココクマ) | 熊本で働こう!暮らそう!

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