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金属同士を接合する方法にはさまざまな技術がありますが、中でも「溶接」と「はんだ付け」は一般的によく使用される手法です。しかし、これらの違いを正確に理解している人は意外と少ないかもしれません。本記事では、溶接とはんだ付けの違いについて詳しく解説します。
溶接とは
2個以上の部材の接合部に「熱」か「圧力」もしくは「熱と圧力」の両方を加えます。さらに必要があれば溶加材を加え、2個以上の部材を一体化された1つの部材とする接合方法のことをいいます。 主に建設業、自動車産業、航空宇宙産業、電子機器産業などの分野で使用されます。
溶接方法の主な種類
実際に溶接を行う方法として、主に以下のような種類があります。
アーク溶接
アーク溶接とは、アーク放電という気体中に生じる放電現象を利用した溶接方法のことをいいます。
アーク溶接で必要なアーク放電は、電極に電流を流した状態で接触し引き離すと起こるものです。
また、アーク放電は非常に強い光と高熱を発します。 電化製品のプラグをコンセントから引き抜いたときに発生するスパークは、アーク放電です。
半自動溶接
溶極式のアーク溶接で、半自動溶接機を使用して材料を接合します。
普通のアーク溶接とは異なり、溶接材とガスが自動供給されるのが特徴で、「CO2溶接」「MAG溶接」「MIG溶接」という3種類の方法が一般的です。
スポット溶接
接合したい金属の上下から電極で圧力をかけながら電流を流し、抵抗発熱で金属を溶かし固めて溶接する方法です。
この時、点で接合されるのでスポット溶接といわれています。
レーザ溶接
目に見えないレーザ光を熱源として集光した光を対象物に照射し、金属を局所的に溶融・凝固させることによって金属同士を接合させる溶接方法です。
他の溶接法と比べ、高い精度で速く溶接することができます。
はんだ付けとは？
はんだ付けとは、低温で溶ける「はんだ」と呼ばれる鉛とスズを主成分とした合金を使って金属を接合する技術です。
母材自体を溶かさず、はんだが接着剤のような役割を果たします。主に電子機器や精密機器の組み立てに使用されます。
はんだ付けの主な種類
はんだ付け技術には以下のような種類があります。
手はんだ付け
専用のはんだごて（はんだを溶かすための道具）及びヤニ入りはんだを用い、1箇所1箇所人の手によってはんだをつける方法です。
このヤニとは松ヤニのことを指し、フラックスが松脂から抽出される溶液によって作られることが由来です。
フローはんだ付け
溶融したはんだを部品に接触させ、表面張力を利用して接合部を形成する方法です。
フローはんだ付けでは、フローはんだ槽（DIP槽）と呼ばれる装置に溶かしたはんだを満たし、その上をコンベアで基板が移動します。
基板がはんだ槽を通過する際に、部品のリード線がはんだに浸され、はんだ付けが行われます。
基板に部品を実装した状態ではんだ槽に浸すため、短時間で多くの部品を取り付けることができ、生産効率が高いため、大量生産に適しています。
リフローはんだ
「クリームはんだ」と呼ばれるペースト状のはんだを印刷し、その上に部品を載せて炉内で加熱することで、はんだを溶かして接合する方法です。
クリームはんだは、あらかじめ指定された場所に塗布できるため、フローはんだよりも高い精度で作業が行うことができます。
溶接とはんだ付けの違い
温度の違い
溶接は高温で金属を溶かします。融解温度は1500度以上です。
一方、はんだ付けの溶融温度は200度前後です。比較的低温で行われるため、銅やスズ、ニッケル、真鍮などの接合に向いています。
接合強度の違い
溶接は、超高温で母材そのものを溶かして接合する技法であるため、はんだ付けよりも接合強度が高いです。
一方で、はんだ付けは比較的低い荷重がかかる接合に使用され、電子機器内部の接合に適しています。
用途の違い
溶接は、建設機械や橋梁、航空宇宙など、様々な産業分野で使用されます。また、自動車の修理やメンテナンス作業でもよく利用されています。
溶接は高温で強力な接合を実現するため、大型構造物などの強度と耐久性が求められる接合に向いています。
一方ではんだ付けは、高熱に耐えられないデリケートな素材や部品に適しています。主に電子機器の基板上の部品の接続や、小型の金属部品の接合に利用されています。
溶接とはんだ付けのメリットとデメリット
溶接のメリット
金属同士が隙間なく一体化するため、高い強度を得ることができます。
例えば、非常に大きな力がかかる建築物の鉄骨では、部材同士が分離することなく結びついている必要があります。
溶接を施すことで、長期間にわたり安定した強度を維持することができます。また、隙間なく接合されるため、防水性や耐圧性が求められる場面にも適しています。
溶接のデメリット
加熱や冷却による収縮で、母材となる金属が変形したり歪んだりする可能性があります。
これにより、精密な寸法管理が難しくなり、追加の加工が必要となる場合もあります。
はんだ付けのメリット
低温で作業できるため、熱に弱く繊細な電子部品にも使用可能です。
また、再加熱すれば修正が可能なこともあり、溶接と比べて初心者でも比較的簡単に扱うことができます。
はんだ付けのデメリット
強度が低く、衝撃に弱いため、負荷のかかる構造物には向いていません。
また、高温にさらされると、接合部が脆くなる場合があります。電気的な接続には向いていますが、機械的な強度は期待できないでしょう。
まとめ
溶接とはんだ付けは、どちらも金属を接合する方法ですが、その原理や用途が大きく異なります。溶接は高温で強力な接合を行い、大型構造物や高荷重の部品に適しています。
一方、はんだ付けは低温での精密な接合を実現し、電子機器や小型部品に最適です。用途に応じて適切な技術を選ぶことが重要です。適切な手法を理解し、目的に合った接合技術を選択しましょう。
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