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近年では企業規模の大小を問わず、M&Aは盛んに行われている傾向があります。本記事ではM&Aの細かい分類、目的、メリット、そしてM&Aを行う上で注意すべき点について紹介します。
M&Aの分類について
M&A(合併と買収)は、企業の組織や資産を統合するために行われる取引の総称です。M&Aの種類は取引の目的や方法によって異なります。以下に代表的なM&Aの種類を解説します。
1-1:合併 (Merger)
2つ以上の企業が合意の上で統合して新しい組織を形成する取引です。各企業の持株者に対して新会社の株式が発行されることで統合が行われます。相互に補完的な事業を持つ企業同士が結合する場合や、競合他社を排除するために行われる場合があります。
1-2:買収 (Acquisition)
一方の企業が他の企業の株式を購入することによってその企業を統合する取引です。買収する企業は買収対象企業の株式の過半数以上を取得します。買収対象企業の技術、ブランド、市場への進出、顧客ベースの拡大などを目的として行われることがあります。
1-3:部分的な買収 (Partial Acquisition)
買収する企業が対象企業の一部の株式を取得する取引です。株式の一部を取得した企業は、買収対象企業の経営に影響力を持つことがありますが、完全な統合は行われません。
1-4:縦割り統合 (Vertical Merger)
サプライチェーンに位置する2つ以上の企業が統合する取引です。たとえば、製造業の企業が供給する部品を生産する企業を買収するケースがあります。
1-5:横割り統合 (Horizontal Merger)
同じ産業や市場に参入している競合他社が統合する取引です。同じ業種や市場での競争力を強化し、市場シェアの拡大を図ることが目的です。
1-6:斜め統合 (Conglomerate Merger)
異なる産業や市場に参入している企業同士が統合する取引です。独自の事業領域を拡大し、多角化戦略を進めることが目的です。
1-7:買収防衛策
買収を試みる他社からの敵対的な買収を防ぐために対象企業が採る手段です。株式の自社保有、発行株式の増加、特定の株主に対する特典などが用いられます。
これらのM&Aの種類は企業の戦略や市場環境に応じて異なる目的で実施されます。M&Aは企業にとって重要な戦略的手段であり、事前の計画と慎重な評価が成功のカギとなるので<す。
M&Aの目的
企業がM&Aを行う主な目的は、以下の通りです。
2-1 拡大と成長
M&Aは企業が自社の規模を拡大し、成長戦略を達成する手段の一つです。新しい市場への進出、新たな顧客層の取り込み、または新技術や知識の獲得を通じて企業の事業範囲を拡大することができます。
2-2:競争力の確保
環境に対する意識変化デジタル技術の進展などといった市場環境の変化に対応するため、または価格面での優位性などといった競合他社との差別化を図るために競争力を確保する目的があります。競合他社を買収することで、市場シェアを拡大したり市場の主導権を取得したりすることがあります。
2-3:リソースの統合
M&Aは、企業間でのリソースの共有や統合を可能にし、コスト削減や効率向上を実現するために行われることがあります。例えば、重複する機能や部門を統合することで、経費削減を図ることができます。
2-4:リスクの分散
M&Aは、企業のリスクを分散させる手段としても利用されます。複数の業種や地域に展開することで、特定の市場の変動やリスクに対する影響を分散することができます。
2-5:技術や知識の獲得
M&Aを通じて、他社が持つ特定の技術や知識を取得することができます。これにより、新製品や新サービスの開発を促進したり、競争力を高めることが可能となります。
売り手側にとってのM&Aのメリット
M&Aを行うことによる売り手側のメリット以下の通りです。
3-1 資本のリリース
売り手が事業を終了または売却することで資本を手元に戻すことができます。
3-2 企業の評価と成長
M&Aにより良好な取引条件や戦略的なパートナーと合併することで企業の信用性が向上し、売り手企業の評価を高めることができます。
3-3 リスクの軽減
激しい競争や経済の不確実性の中で、売り手は事業の持続可能性に対するリスクを軽減させる必要があります。M&Aを通じて、安定した企業に統合されることで、競争力を保ちながらリスクを軽減できます。
3-4 知識と経験の共有
売り手は買い手企業の知識、経験、成功事例を活かすことができます。新しい企業文化やプロセスの導入により、売り手企業は効率性と競争力を向上させることができます。
買い手側にとってのM&Aのメリット
M&Aを行うことによる買い手側のメリットは以下の通りです。
4-1:ビジネス多様化
新しい製品やサービス、技術を取得することにより、買い手企業のビジネスが多様化します。これにより新たな成長機会の創出が可能となります。
4-2:新規顧客層の獲得
買収する企業の顧客を把握することで、買い手企業は新しい顧客層を獲得できる機会を得る可能性があります。
4-3:人材の獲得
買収対象企業の有能な従業員を取得することで、買い手企業は優れた人材を手に入れることができます。経験豊富なスタッフが加わることで、企業の運営などを改善させることが可能です。
4-4:ブランドの拡大
買収対象企業のブランドが強力な場合、買い手企業のブランド価値や認知度を向上させることができます。
M&Aを行う上で注意すべき点
M&Aを行う際には、慎重な計画と注意が必要です。M&Aを実行する際に注意すべき重要な点を以下にまとめました。
5-1: 目的と戦略の明確化
M&Aの目的を明確にし、企業の戦略と合致していることを確認することが重要です。M&Aがどのように企業の成長戦略やビジョンに貢献するのかを明確にし、それに基づいた対応をしましょう。
5-2:デューデリジェンスの実施<
M&Aを検討する際には、対象企業のデューデリジェンス事前調査を徹底的に実施する必要があります。財務状況、法的問題、リスク、知的財産権などについて詳細に調査し、将来のリスクや障害を把握しましょう。5-3:文化の違いの評価
合併や買収により異なる企業文化が統合されることがあります。文化の違いを理解し、類似性や相違点を評価して、統合プロセスに適切に対処しましょう。5-4:シナジー効果の評価
M&Aによって得られるシナジー効果を評価し、実現可能性を慎重に検証することが重要です。統合によって、コスト削減、市場シェアの拡大、効率向上などのメリットが得られる可能性を考慮しましょう。
5-5:法的・規制上の問題
法的な手続きと規制の遵守は特に重要です専門家の助けを借りるなど法的な問題や規制上の障害を理解しましょう。
5-6:チームの組織とリーダーシップ
M&Aを成功させるには適切なチームとリーダーシップが重要です。統合プロセスをリードする経験豊富なチームを組織し、問題が発生した場合も<迅速かつ効果的に対処すること要求されます。
5-7:コミュニケーション戦略
M&Aを成功させるには適切なチームとリーダーシップが重要です。統合プロセスをリードする経験豊富なチームを組織し、問題が発生した場合も迅速かつ効果的に対処することが要求されます。
5-8:長期的な視野
短期的な利益よりも長期的な成長と持続可能な価値の創出に焦点を合わせることが重要です。短期的な利益よりも、長期的な成長と持続可能な価値の創出に焦点を合わせましょう。
これらを考慮し慎重な計画と準備を行うことによってM&Aを成功させることができます。
まとめ
以上、M&Aの分類と行う目的、M&Aがもたらすメリット、注意すべき点について紹介させていただきました。
M&Aは企業にとって重要な戦略的な取引であり、M&Aの細かい分類を把握することで取引の成功率を高めることができます。異なる種類のM&Aの性質について理解し、適切なアプローチを選択することが重要です。また、M&Aの成功には計画と慎重な検討が必要であり、M&Aのメリットや注意点を把握することでより戦略的な意思決定が可能となります。また、透明性と正確な情報共有がM&Aの関係者との信頼関係を築く上で重要であると言えます。
本記事を読んで「将来的にM&Aによる企業売却を考えている」とお考えの方は是非一度、影山グループのM&A専用窓口からお気軽にご連絡ください。