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2024.10.28 溶接topics

水中溶接とは?仕組みから必要な資格までご紹介!

目次

皆さんは「水中溶接」という言葉を聞いたことがありますか?
「溶接」と聞くと、工場での溶接を思い浮かべる方が多いでしょう。しかし、溶接は水中でも行われています。
今回は水中溶接について詳しく解説していきます。

水中溶接とは

水中溶接とは、海や河川をはじめとする水中で行われる溶接技術を指します。主に船舶の修理、海洋工学構造物、海底パイプラインの建設、さらには原子力発電所のメンテナンスにも使用される高度な技術です。水中溶接は、溶接技術と潜水技術を組み合わせて行うため、陸上の溶接に比べて複雑で専門的なスキルが求められます。

水中溶接の種類

水中溶接の種類は主に大きく分けて「湿式」と「乾式」の2種類があります。
それぞれの特徴や、使用する状況などをご紹介します。

湿式水中溶接

溶接する場所が水中に露出した状態で溶接する方法を、湿式水中溶接と呼びます。一般的に防水被覆した溶接棒を使用し、潜水士が直接潜り、アーク溶接を行います。アーク溶接とは、アーク放電という電気的現象で金属同士をつなぎ合わせる技法です。水中の視界が悪い中で作業しなくてはならないため、他の溶接方法に比べ高い技術が求められます。湿式水中溶接は緊急の補修溶接などに使われることが多いです。

乾式水中溶接

乾式水中溶接は、溶接部位を完全または部分的に乾燥させ、乾燥状態または半乾燥状態で作業する方法です。溶接部位に水が接しない状態にしてから溶接を行うことから「局所乾式水中溶接」とも呼ばれています。溶接部位を乾燥させるため、特別なチャンバー(内部を真空にするための容器)などを使用します。また、状況に合わせて「ハイドロボックス方式」や「水カーテン方式」「ワイヤブラシ方式」など最適な方法で作業を行います。乾式水中溶接は海底パイプラインの補修や増設に実用されています。

水中溶接の課題

水中溶接は、水中という特殊な環境で行われるため、通常の溶接とは異なる課題があります。

安全性

水中での作業は、電気や水、加圧ガスによる危険が伴います。人間と電気機器が海水を通じて接触するため、感電には特に注意が必要です。作業を開始する前に、すべての溶接機器と潜水機器が正しく機能することを確認しましょう。また、監督者と水上チームは、潜水士の異常や機器の故障の兆候を継続的に監視する必要があります。

技術的難易度

水中溶接は溶接作業の中でも、最も技術的難易度が高いといわれています。特殊な環境で行われるため、陸上よりも溶接強度が落ちやすく、強度を確保するために高度な技術と装備が必要です。また、溶接技師としての知識を基に、現場の状況に合わせた臨機応変な対応が求められます。

必要な資格

水中溶接を行うためには、以下の資格が必要です。

潜水士

潜水士は、厚生労働省が認定する国家資格です。酸素ボンベなどの潜水器具を使用するために必要となります。受験要件はありませんが、潜水士の免許交付対象は18歳以上です。試験は潜水業務や送気、関係法令などを問う筆記試験で、合格率は75.7%(令和5年度実績)となっています。

アーク溶接技術者

水中溶接では主にアーク溶接が使用されます。アーク溶接作業に従事する際は、資格ではなく「アーク溶接等特別教育」という特別教育の修了証が必要です。アーク溶接等特別教育では、満18歳以上であれば、定められた時間の学科講習と実技講習を受けることで取得できます。学科では、必要知識と労働安全衛生法をはじめとした関係法令を学び、実技では、アーク溶接装置の取り扱いや作業の方法について行います。しかし、特別教育の修了証は技術を証明するものではありません。そのため、溶接技能を証明する資格を取る場合は、「手溶接技能者」の取得も視野に入れましょう。手溶接技能者は、日本溶接協会が主催の資格で、基本級と専門級があります。水中溶接を行うためには、専門級を取得しておくと有利です。

平均年収

水中溶接技術者の給与は、一般的な溶接工よりも高い傾向があります。具体的には、年収が1,000万~1,500万円に達することもあります。この高い給与は、水中溶接が高度な技術と危険を伴う作業であることが理由です。

まとめ

このように、水中溶接は高度な溶接技術と潜水技術、安全対策など、一般的な溶接工とは異なるスキルを求められます。普段目にすることはありませんが、水に関係する場所の建造や保守に携わる重要な仕事です。現在、水中溶接は世界中で様々な方式が応用、研究されており、水中スタッド溶接、水中爆轟溶接、水中電子ビーム溶接、水中発熱溶接などの新しい方法も登場しています。
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【参考文献】

水中溶接に革命を:その進歩と応用|MachineMFG
水中溶接 [JSME Mechanical Engineering Dictionary]
アーク溶接等特別教育 | コベルコ教習所 (kobelco-kyoshu.com)
手溶接(アーク溶接等) - JWES:日溶協ポータルサイト
資格取得について | 一般社団法人 日本潜水協会 (sensui.or.jp)
【潜水士とは】一般財団法人 安全衛生普及センター (lejlc.co.jp)

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