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2025.04.30 溶接topics

異種金属溶接とは?初心者にもわかるメリット・課題・活用例まで解説!

目次

皆さんは、つなぎ合わせる材料が異なる場合でも溶接が可能であることを知っていますか?

金属はその種類によって、強度、耐熱性、重量、加工性などが大きく異なります。通常、こうした異なる性質を持つ金属を接合するのは難しいとされてきました。

しかし、近年の技術進歩により、「異種金属溶接(異材溶接)」と呼ばれる高度な接合技術が、様々な分野で実用化されています。

本記事では、異材溶接の基本から、メリットと課題、産業への応用事例までを初心者にもわかりやすく解説します。

異種金属溶接とは?

異種金属溶接とは、異なる種類の金属を接合する技術のことを指します。 例えば、軽くて加工性に優れたアルミニウムと、高強度な鋼材など、一見性質が合わない金属同士を強固に接合する手法がこちらにあたります。 同一金属の溶接に比べ、化学的な特性が異なるため、より繊細で高度な技術が求められます。

異種金属溶接のメリットと課題

メリット

軽量化と強度の両立

強くて重い金属の一部に、軽くて丈夫な金属を組み合わせることで、製品の軽量化と耐久性を同時に実現することができます。特に車や電車、飛行機などの乗り物では、軽くなるほどより少ないエネルギーで使用できるため、ガソリンや電気の無駄が減り、さらに遠くまで走れるようになります。

コストパフォーマンスの向上

高価な材料は性能が求められる部分に限定して使用し、それ以外の部分は安価な材料で補うことで、全体の材料コストを効率的に抑えることができます。異なる金属の特性を活かし、製品の各部位に最適な素材を組み合わせられるのが、異種金属溶接の大きな強みです。

製品の機能性強化

例えば、高い熱を伝えたい部分には熱伝導性に優れた金属を、強度が求められる部分には丈夫な金属を使うなど、目的に応じて金属を使い分けることができます。同じ種類の金属を溶接する際、こうした要求全てに応えることは難しいですが、異種金属溶接であれば可能になります。

課題

温度変化による変形や割れ

異なる金属同士では、加熱や冷却の過程で膨張率が異なります。この差が大きいと、製品全体の変形や、冷却時にクラック(割れ)を引き起こす可能性があります。特に、温度変化が激しい環境で使われる部品や構造物では、耐久性に直結する問題となるため、設計段階から慎重な材料選定と溶接条件の調整が必要です。

腐食(ガルバニック腐食)のリスク

異なる金属を直接接合することで、電位差による腐食現象(ガルバニック腐食)が発生することがあります。これは、異なる種類の金属同士が接触し、かつ水分や電解質が存在する環境で発生する腐食現象です。腐食を防ぐためには、絶縁処理や防食材料の使用などの対策が不可欠となります。

加工コストや技術ハードルが高い

異材の接合は、一般的な溶接に比べて高度な知識と精密な制御技術が求められるため、初期導入コストが高くなる傾向があります。これは、材料ごとの熱膨張率や溶融温度、電気伝導性などの物理的性質の違いを正確に把握し、適切な溶接方法を設定する必要があるからです。また、設備投資や技術習得にかかるコストも大きくなることがあります。

代表的な異種金属溶接技術

レーザ溶接

人工的に作り出されたレーザ光によって溶接する方法です。レーザによって溶接できる材質は多岐にわたります。アルミや銅合金など、レーザを吸収しやすい金属であれば幅広く対応可能です。レーザ溶接はコントロール性が高いため、融点が異なる金属同士でも溶融させることができ、損傷の可能性を軽減します。

TIG溶接

「TIG」とは、「タングステン・イナート・ガス」の略称です。片手に溶接棒、もう片手に溶接トーチと呼ばれる道具を持ち、強い光と熱を持つアークを発生させることで、金属を溶接します。TIG溶接は、鉄やアルミ、ステンレスなど、ほとんどの金属が溶接可能です。

MIG溶接

「MIG」とは、「メタル・イナート・ガス」の略称です。不活性ガスのアルゴンやヘリウムを供給しながら、溶接材を溶かし母材同士を接合します。ステンレスと軟鋼のように、ある程度相性の良い異材同士であれば、MIGでも高効率な異材接合が可能です。

異種金属溶接の具体的な用途と事例

製品の軽量化や高機能化、コスト最適化が求められる現代の製造業において、異種金属溶接は重要な技術の一つです。以下のような幅広い産業分野で導入が進んでいます。

航空宇宙業界

航空機やロケットのような空を飛ぶ乗り物では、機体の軽さが非常に重要です。重ければ重いほど、飛ばすために大量の燃料が必要になります。そこで活用されているのが、アルミニウムとチタンの異種金属溶接です。アルミは軽くて加工がしやすく、チタンは非常に強くて腐食に強いという特長があります。この2つを上手に組み合わせることで、軽量でありながらも耐久性に優れた構造が実現できるのです。

自動車業界

自動車業界でも、車体の軽量化は燃費向上や環境負荷の低減につながるため、大きなテーマになっています。ここでは、アルミと鋼(スチール)を異材溶接で接合する技術が活躍しています。例えば、衝撃に強くしたい部分には鋼を使い、それ以外のボディには軽量なアルミを使うといった工夫がされており、燃費だけでなく安全性も確保することができます。

電子機器・半導体分野

スマートフォンやパソコン、家電製品に欠かせない電子部品では、「小型で高性能」が求められます。また、内部から発生する熱をいかに効率よく逃がすかも重要なポイントです。そこで、電気や熱をよく伝える銅と、軽くて加工しやすいアルミを組み合わせることで、小さくて効率的に冷却できる部品が実現しています。異材溶接は、こうした高密度・高機能な製品づくりに大きく貢献しています。

まとめ

このように、異種金属溶接は、それぞれ異なる金属の特性を理解し、最適な方法で接合する高度な技術です。温度差による変形や腐食といった課題もありますが、技術の進歩によりこれらの問題は少しずつ解消されつつあります。 近年では、自動車や航空宇宙、電子機器、建築など多くの分野で導入が進み、軽量化・高性能化・コスト削減といったニーズに応える重要な手段として注目されています。

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