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2026.09.30 溶接topics

鉄骨製造業の熱中症対策とは?2025年からの義務化や工場でできる対策を解説

目次

夏になると、建築現場や工場などで特に注意したいのが「熱中症」です。

鉄骨製造業では、屋外で鉄骨を組み立てる作業だけでなく、工場内でも鋼材の加工や溶接など、身体への負担が大きい作業があります。気温が高い日はもちろん、湿度や作業内容によっても熱中症のリスクは高まります。 2025年6月1日より、職場における熱中症対策が強化されました。熱中症対策は全ての企業で義務づけられるわけではなく、一定の条件を満たす作業を実施する企業において、義務化されています。

この記事では、鉄骨工事や鉄骨製造の現場でなぜ熱中症対策が重要なのか、具体的にどのような対策が必要なのかを分かりやすく解説します。

熱中症とは?

「熱中症」とは、高温多湿な環境下において、体温の調整機能が崩れ、体内に熱が溜まってしまう状態を指します。 体温が上昇することで、体内の水分や塩分のバランスが乱れ、めまいや頭痛、熱けいれん、熱疲労などの症状が現れます。症状には様々なパターンがあり、軽症から最重症まで幅広く、重症化すると命に関わることもあります。

2025年6月から熱中症対策が義務化

2025年6月1日から、労働安全衛生規則の改正により、職場における熱中症対策が強化されました。

義務化の対象となるのは「WBGT28度以上または気温31度以上の作業場で、継続して1時間以上または1日4時間を超えて行われることが見込まれる作業」です。

WBGTは、Wet Bulb Globe Temperature(湿球⿊球温度)の略称で、単位は気温と同じ摂氏度(℃)で示されますが、その値は気温とは異なります。気温だけでなく湿度や日射などを考慮して、熱中症のリスクを判断するための指標です。

対策を怠った場合、労働安全衛生法第22条にもとづき、6ヵ月以下の懲役または50万円以下の罰金が科される可能性があります。 今回の改正では、熱中症による重症化を防ぐため、事業者に対して主に次の対応が求められています。

・熱中症の発生を報告する体制を整える

・症状を悪化させないための対応手順を決める

厚生労働省によると、熱中症は死亡災害に至る割合が他の災害の約5~6倍で、そのほとんどが初期症状の放置・対応の遅れだといいます。そのため、熱中症のおそれがある作業を行う場合、熱中症の自覚症状がある作業者やその作業者を見つけた人が、その状況を報告できるよう、連絡先や担当者などの報告体制をあらかじめ決めておくことが必要です。

また、熱中症のおそれがある人が出た場合に備えて、対応手順を事前に定めておくことも必要となります。

鉄骨製造業で熱中症対策が重要な理由

鉄骨製造業において、熱中症対策が重要な理由は主に3つあります。

屋外での作業

鉄骨工事では、工場で製作した柱や梁などの鉄骨を建築現場へ運び、建物の骨組みを組み立てます。建築現場では、直射日光を浴びながら作業することもあり、気温だけでなく、日差しや風の有無なども身体への負担に影響します。

工場内での作業

「熱中症は屋外だけの問題」と思われがちですが、工場内でも注意が必要です。 鉄骨製作工場では、鋼材の切断や加工、組立、溶接など、さまざまな作業が行われています。特に夏場は、風通しが悪く工場内の温度が高くなることに加え、溶接など熱が発生する作業では、作業者の身体への負担が大きくなる場合があります。

作業環境による身体への負担

鉄骨は熱を受けることで表面温度が高くなることがあり、特に夏場の屋外では、鉄骨からの熱によって暑さを感じる場合があります。また、作業服やヘルメットなどの保護具を着用して作業するため、暑い環境では身体に熱がこもりやすくなることもあります。

このように、鉄骨業界では気温や日差しだけでなく、鉄骨からの熱や身につける保護具など、さまざまな要因が身体への負担につながります。そのため、それぞれの作業環境に合わせて熱中症対策を行うことが重要です。

製造現場でできる熱中症対策

熱中症を防ぐためには、一人ひとりが気をつけるだけではなく、会社全体で対策を行いましょう。

水分・塩分をこまめに補給する

大量に汗をかくと、身体から水分だけでなく塩分も失われます。そのため、喉が渇いてから一度に大量の水分を取るのではなく、作業中はこまめに水分や必要に応じて塩分を補給することが大切です。

適切に休憩する

暑い環境で長時間作業を続けないことも重要です。休憩時間を確保するだけでなく、可能な場合には直射日光を避けられる場所や、涼しく過ごせる休憩場所を用意するなど、身体を休められる環境を整えます。WBGT1℃程度超過ごとの休憩時間の目安は、1時間当たり15分以上といわれています。(働く人の今すぐ使える熱中症ガイド_厚生労働省)

空調服や冷却グッズを活用する

作業中は、空調服やクールベスト、通気性の良いヘルメットなどの暑さ対策用品を活用することも有効です。ただし、こうした用品を使用しているから大丈夫と考えるのではなく、水分補給や休憩、作業時間の調整などと組み合わせて対策することが大切です。

WBGT(暑さ指数)を確認する

気温だけでなくWBGTを確認することも重要です。WBGTはISO等で国際的に規格化されています。作業場所における暑さ指数が、基準値を超えるおそれがある場合には熱中症になる可能性が⾼くなります。その日の暑さ指数を確認し、状況に応じて作業時間や休憩の取り方などを見直すことで、熱中症のリスクを抑えることにつながります。

作業者同士で体調を確認する

熱中症対策では、本人の自己管理だけに頼らないことも大切です。朝礼や作業前の確認、作業中の声掛けなどを通して、いつもと様子が違う人がいないかを周囲で確認します。「少し休んだほうがいいのでは?」と声を掛けられる環境があれば、本人が無理をしてしまうことも防ぎやすくなります。

熱中症の症状が出た場合の対応

熱中症が疑われる場合は、そのまま作業を続けないことが重要です。本人だけでなく、周囲の人も体調の変化に気づいたら、早めに対応しましょう。

まずは直ちに作業を中止し、涼しい場所へ移動します。衣服を緩め、身体に水をかけたり、濡れタオルや冷却材などを使用したりして、身体を積極的に冷やします。 また、熱中症の判断では、「意識があるかどうか」だけで判断しないことも重要です。「返事がおかしい」「ぼーっとしている」など、普段と様子が違う場合も異常のサインとして考え、周囲の人が注意して確認しましょう。

自力で水分を取ることができない、意識がはっきりしない、呼びかけへの反応がおかしいなどの症状がある場合は、無理に水分を飲ませず、救急要請を行うなど、速やかに医療機関へつなげる必要があります。

対応に迷った場合は、安易に判断せず、#7119(救急安心センター)などの相談窓口を活用し、専門機関や医療機関に相談して指示を仰ぐことも大切です。

影山鉄工所の熱中症対策

影山鉄工所では、暑さによる体調不良を防ぐため、個人への対策品の配布だけでなく、工場の設備や数値管理など、さまざまな面から熱中症対策を行っています。

支給品による熱中症対策

暑い環境で働く社員がこまめに水分や塩分を補給できるよう、飲料や塩分タブレット、梅干し、OS-1などを用意しています。また、暑さによる身体への負担を軽減するため、シャツスプレーや空調服も支給しています。水分・塩分の補給に加え、暑さを和らげるアイテムも活用することで、社員ができるだけ快適に作業できる環境を整えています。

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工場の設備面からも暑さ対策

鉄骨製作は工場内で行う作業が多いため、工場内の暑さ対策も重要です。影山鉄工所では、各工場にスポットクーラーや扇風機を設置し、作業環境の改善に取り組んでいます。個人への対策用品の支給だけでなく、設備面からも暑さ対策を行うことで、社員が安全に作業できる職場づくりを進めています。

WBGT(暑さ指数)を数値で管理

気温だけでは、その日の熱中症リスクを判断することはできません。そこで影山鉄工所では、WBGT(暑さ指数)を各工場で1日3回、10時・12時・15時に測定・記録しています。測定した数値は社内連絡ツールのSlackで共有するとともに、暑さの危険度が分かる掲示物を各工場に設置し、社員がその日の暑さの状況を確認できるようにしています。「今日は暑い」という感覚だけに頼るのではなく、数値をもとに暑さの危険度を共有することで、社員一人ひとりが熱中症への注意を意識できる環境を整えています。

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緊急連絡網の作成

熱中症は、予防だけでなく、症状が出た場合に速やかに対応できる体制を整えておくことも重要です。影山鉄工所では、万が一の事態に備えて緊急連絡網を作成し、体調不良者が出た場合にも適切に対応できるよう、社内の連絡体制を整えています。

外部講師による講習

熱中症を防ぐには、会社が環境を整えるだけでなく、社員一人ひとりが熱中症の危険性や予防方法を知っておくことも大切です。 影山鉄工所では、外部講師による講習を実施し、熱中症の症状や予防、発生時の対応などについて学ぶ機会を設けました。

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万が一の事故にも備えた補償加入

熱中症をはじめとする労働中の事故を防ぐため、日頃から予防対策を徹底することが第一です。それに加えて、影山鉄工所では万が一のケガなどに備え、あんしん財団のケガの補償(事業総合傷害保険)にも加入しています。 予防対策と万が一の備えの両面から、社員が安心して働ける環境づくりに取り組んでいます。

まとめ

このように、鉄骨製造業では工場内や建築現場など、さまざまな場所で熱中症に注意する必要があります。水分・塩分補給や休憩、作業環境の改善など、状況に合わせた熱中症対策を行うことが大切です。また、自分自身の体調に気を配るだけでなく、周囲の人の変化にも気づき、声を掛け合うことも重要です。 これからも影山鉄工所では、会社全体で熱中症対策に取り組み、安全に働ける職場環境づくりを進めていきます。

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